
前回、3年半の試行錯誤を経て研究会という事業にたどり着いた経緯を書いた。今回は、実際に始めてみて感じている研究会というビジネスの魅力を紹介したい。
1. 社会的意義がある
日本中の企業が同じような課題を抱え、同じような試行錯誤を数年続け、結局は同じような解決策にたどり着く――。いわゆる「車輪の再発明」が、至るところで起きている。
研究会では、当社が調査した成功・失敗の型の共有、先進企業による事例登壇、グループディスカッションや交流会を通じて、先人の知恵を得られるようになっている。
各社がゼロから試行錯誤する「車輪の再発明」を食い止め、効率的な成果創出を支援できるのは、研究会ならではの価値だ。
私の愛読書『BIG THINGS』でも、先人の知恵や経験をいかすことでプロジェクトの成功率が大幅に高まると説かれている。今後、会員数が増えた先で数百、数千社のプロジェクトの成功率を高めることができれば、社会的意義があり、事業としてやる意味があるだろう。
※参考:優れた計画から優れた成果が生まれる。BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?
2. 喜んでもらいやすい
研究会を構成する要素の一つに、クローズドイベントがある。オフラインの場に集まり、同じ課題を抱える人たちと議論し、横のつながりをつくる。これらは極めて人間的な営みであり、たとえばオンラインセミナーと比べても、参加者に満足していただきやすい。
一度優れたフォーマットをつくることができれば、毎回の開催で着実に価値を届けられる再現性がある。個人的にこうした仕組みを「素晴らしいベルトコンベア」と呼んでいるが、研究会はまさにそれになりそうだ。
3. 多くの企業に専門知を届けることができる
コンサルティングを依頼すると、数百万円から数千万円の費用がかかることがある。そこまでの予算は出せなくても、知見が足りず、専門家のサポートを必要としている企業は多い。
研究会では、複数の企業から会費をいただき、共通する課題について調査したり、クローズドイベントを開催したりする。個社ごとの支援とは提供できる範囲が異なるが、成功・失敗の型や他社の事例を知るだけで前に進める企業もある。
費用を分担することで、1社あたりの負担を抑えながら、より多くの企業に知見を届けることができる。
4. 継続的に伴走できる
コンサルティングは高額なため、期間限定のプロジェクトになりがちだ。変革は一朝一夕には進まないのに、最も伴走が必要な時期に手を離さざるを得ないこともある。
比較的費用が抑えられる研究会であれば、コンサルティング契約が終わった後も、形を変えて長く伴走できる。
5. お金をいただきながら、知見を開発・発信できる
個人的に、とくに素晴らしいと思っているのがこの点だ。
コンサルティング会社における知見の開発・発信は、将来の受注につなげるためのマーケティング活動として位置づけられやすい。そのため、業績が厳しくなったり、目の前の案件が忙しくなったりすると後回しにされてしまう。
研究会では、知見そのものに対してお金をいただく。調査・研究を提供サービスの中心に置き、品質に責任を持って取り組める。前回書いたとおり、知見の開発・発信を販管費ではなく売上原価として位置づけられるため、投資を削ることなく続けられるのだ。
6. 話を聞いてもらいやすい
商品にどれほど素晴らしい価値があっても、顧客の検討の土俵に乗らなければ広がらない。
その点、研究会、コミュニティ、勉強会といった取り組みを嫌う人は少ない。コンサルティングやBPO、ツールなどの商品カテゴリーと比べて、商談の機会をつくりやすい。知見を世の中に広げていきたい自分たちにとって、この点は大きい。
7. 営業がシンプル
提供サービスと会費が決まっているので、営業もシンプルになる。実際、20分ほどで説明が終わることが多く、個社ごとに追加の提案書をつくる必要もない。
提供価値を説明しやすく、販売にかかる負担も小さい。営業がシンプルでスケーラブルな分、多くの企業に価値を届けやすい。
8. コンペにならない
研究会は他社と比較されにくく、コンペになることがほとんどない。競争は利益率を下げ、次のサービス改善に回すべき投資原資を奪っていく。比較されない土俵で戦えることは、提供価値を上げ続けるうえでの大きなメリットだ。
9. 売上が積み上がる
先行事例であるCEB(Corporate Executive Board)や日経ESG経営フォーラムは継続率90%、起業家の国際組織EOは95%と、いわゆる“ストックビジネス”の部類に入る。
もちろん、更新していただくには、毎年の活動に価値が必要だ。会員制にすれば自動的に続くわけではない。
それでも、継続を前提とした関係があることで、運営側は腰を据えてサービス価値の向上に取り組める。
10. 顧客との接点を増やしやすい
企業が知見を必要とするテーマは幅広い。ブランディング、AX、パートナー戦略、セールスイネーブルメントなど、どれか一つの知見で会社や事業が成功することはなく、常に複数の知見が必要だ。
研究会は、そうした複数のテーマを入口に、顧客と複数の接点をつくることができる。最初は一つのテーマで参加し、別の課題が生まれたら別の研究会も活用していただく。研究会の数を増やすことが、新しい企業との出会いにも、既存会員への価値提供にもつながる。
さまざまな領域で知見を開発・提供したい自分たちとの相性は抜群だ。
11. 日々の事業活動が、次の集客につながる
研究会を運営すると、イベントや調査レポートが生まれる。イベントは当該テーマへの関心が高い見込み客と出会う機会になり、調査から得た知見は、公開できる範囲で記事やセミナーとして展開できる。会員に価値を提供するための活動が、そのまま次の見込み客に自分たちを知ってもらう材料になるのだ。
たとえば研修会社は、研修を開催するたびに紹介ページが増え、関連キーワードで検索上位に表示されやすくなり、集客力が高まっていく。研究会も同じように、事業を続けるほど知見と顧客との接点の両方が強化されていく。
12. コンサルティングの相談につながる
顧客にとって、いきなりコンサルティングを依頼するのはハードルが高い。何ができる会社なのか。サービス品質は問題ないのか。一緒に仕事を進めるときの相性は良さそうか。契約前には、わからないことが多い。
研究会に参加すると、提供される知見やコンサルタントとの会話を通じて、当社への理解を深めていただける。その結果、「自社で実行するところを支援してほしい」というコンサルティングの相談につながっている。会員企業からの相談だけでなく、研究会の商談がそのままコンサルティングの相談に発展することもある。研究会を始めてから、コンサルティング事業の商談数も増えている。
13. 役職者にリーチしやすい
研究会はほかのCVポイント(問い合わせや資料請求、ホワイトペーパーダウンロードなど)と比べて、役職者との接点をつくりやすい傾向がある。部門を率いる人ほど、社内だけでは得られない知見や、他社の同じ立場の人と議論する機会を必要としているのかもしれない。
研究会やコンサルティングで企業の変革を支援するには、意思決定や組織運営を担う人との対話が欠かせない。顧客により大きな価値を届けるためにも、そうした人たちと接点を持てる意味は大きい。
研究会の事業はまだ始まったばかりだ。どこまで参加企業に役立つサービスにできるか。これから精進していきたいが、今は可能性を強く感じている。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせ・資料請求ください。
才流を経営しながら考えたことや参考にした本の書評を更新していければと思っています。



栗原康太さん
初めまして。森﨑康太と申します。フォローさせていただきました。ご縁に感謝いたします。今後とも宜しくお願い致します。