今日は、本ニュースレターで先日紹介した『ビジョナリーカンパニーゼロ』の著者ジム・コリンズが、偉大な企業の共通点として提唱している「弾み車の法則」に触れたい。
「弾み車の法則」は、『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』の中ではじめて紹介され、それだけを扱った『ビジョナリー・カンパニー 弾み車の法則』という本が出ている。才流の経営にも取り入れているコンセプトなので、当社がどのような「弾み車」を描いているかを紹介したい。
「弾み車の法則」とは
まずはじめに「弾み車の法則」について解説する。
「弾み車の法則」とは、長期間、一貫性を持って一つの方向に押し続けていれば、やがて反復的ループの累積効果によって当初は予想もしなかったような大きな効果がもたらされる現象を指す。
世界で一番有名な弾み車は、Amazonのジェフ・ベゾス氏が創業時に紙ナプキンの裏に書いたとされる以下の図だろう。
Amazonの弾み車は、左上の「低コストのビジネスの仕組み」を作ることで
顧客に「低価格」で商品を提供可能に
↓「顧客体験」が向上
↓顧客がAmazonのサイトに訪れるようになり、「取引量」が増加
↓「商品の売り手」の参入が増加
↓「商品の品揃え」が豊富に
↓さらに「顧客体験」が向上
↓Amazonが「成長」
↓それがさらなる「低コストのビジネスの仕組み」につながり
……という無限ループ構造になっている。
つまり、「低コストのビジネスの仕組み」などの弾み車の各パーツを押し続けることで、Amazonの成長が半永久的にもたらされるのだ。
ジム・コリンズの調査によれば、偉大な企業には「弾み車の法則」が働いており、長期間にわたって弾み車を押し続けた結果として、偉大な企業になっていた。逆に言えば、象徴的な出来事や決定打によって偉大な企業になったわけではない、という。
才流が描く「弾み車の法則」
さて、本題の当社の弾み車を紹介したい。
以下は社内で共有している、会社のビジョンである「メソッドカンパニー」として成長するための弾み車だ。
簡単に説明すると、ノウハウの言語化・体系化が得意な「メソッドメーカーの採用」によって、
「メソッドの数が増える」
↓「発信できるコンテンツが増える」
↓コンテンツ発信によって認知度が高まり、「案件数が増える」
↓案件を通してメソッドが磨き上げられ、案件における「成果の再現性が高まる」
↓再現性高く成果を出してくれる、という評判や実績によって、才流の「ブランド力が高まる」
↓ブランド力が高まると、「単価が上がる」
↓単価が上がることで「粗利が増える」
↓粗利が増え、採用の原資が生まれるため「メソッドメーカーの採用」ができ
……という無限ループを描いている。以下、4つの観点から当社の弾み車の特徴を解説したい。
弾み車の特徴①メソッドメーカーの採用
当社の弾み車のセンターピンは『メソッドメーカーの採用』だ。メソッドメーカーは完全な私の造語だが、「業務に関するノウハウを、他の人でも再現可能なように言語化・体系化するのが得意な人」と定義している。
一般的なコンサルティング会社は、東大や早慶、もしくは海外の有名大学から新卒採用していることからわかる通り、高い問題解決能力、抽象的思考力、リーダーシップ能力などを採用要件にしている。
一方、当社の場合は、当然それらのスキルも重要ではあるが、その領域での経験があり、メソッドメーカー的な気質があるかを最も重視している。
例えば、当社の主力サービスである「BtoBマーケティングの戦略・施策立案支援」では、マーケティング業界での経験が豊富なメンバーを採用している。
そして、彼らが持つ業務に関するノウハウを、他の人でも再現可能なように「メソッド」として言語化・体系化。自社サイトや業界紙、セミナー等でアウトプットし続けている。
当社の弾み車は「メソッドメーカー」が根幹にあるため、例えば、その人を採用することで売上が毎年10億円増えるとしても、業務に関するノウハウの言語化・体系化が不得意な人は採用要件と合致しないため、採用しない。
弾み車の特徴②利益率の向上
「メソッド」を中心に据えた弾み車を描いた理由に、メソッドの発信(より一般的な言葉に置き換えると、コンテンツマーケティング)によって、大きく2つのコストを減らせると考えたことがある。それは「広告宣伝費」と「採用費」だ。
前職の事業部長時代にPLを管理していて、Web広告や展示会出展などの「広告宣伝費」と、人材エージェントや媒体に払う「採用費」にめちゃくちゃお金が持っていかれるな…と思ったことがある。
例えば、売上に対する広告宣伝費は業種によって異なるものの、以下のような割合が一般的だ。
また、採用費は年間売上の5~10%が目安だと言われている。
販管費の2大コストとも言える、広告宣伝費と採用費。メソッドの大量発信によるコンテンツマーケティングによって、広告宣伝費と採用費を大幅に削減できれば、普通にやっていれば利益が出るのでは?と思ったことから、「メソッドメーカーの採用」と「メソッドの発信」を弾み車のコアドライバーに定めた。
弾み車の特徴③各事業での再現性
当社では『マイクロ事業法人』という年商2~3億円規模の事業を100個、200個と作る企業体を目指している。
今回紹介した「メソッドメーカーの採用 → コンテンツ発信 → 案件獲得 → 再現性向上 → ブランド力アップ → 成長」の弾み車は、今後、100個、200個と作るマイクロ事業のすべてで成長の基本戦略となる。
100個、200個のそれぞれの事業で独自の勝ちパターンを作るのは現実的ではないが、「メソッドメーカーの採用」と「メソッドの発信」を中心に据えた弾み車は、(年商2~3億規模まであれば)再現性高く使える戦略だと考えている。
当社のはずみ車の特徴④バックオフィス業務の効率化
当社の弾み車は、採用や人事、経理、総務などバックオフィス部門でも同じように適用する予定だ。
「メソッドメーカー」をバックオフィス部門でも採用することで業務の型化、平準化が進む。業務の「型」があることで、今後100個、200個と増えていくマイクロ事業では、「型」をそのまま利用したり、微修正することでバックオフィス業務の効率を大幅に上げることができる。
当然、型化したバックオフィス業務をコンテンツとして外部に発信し、バックオフィス部門の採用費を抑えることも目指していく。
目指せ、メソッドカンパニー
今はまだBtoBマーケティングと法人営業の2つの領域でしか、メソッドを発信できていないが、今後、マイクロ事業を100個、200個と立ち上げ、メソッドメーカーが社内に1,000名、2000名と増れば、才流から毎月1,000本、2,000本のメソッドが発信できるようになる。
プロスポーツ選手になりたいならコーチから指導を受けた方が良く、医者になりたいのなら医学部に行って医学を学んだ方が良いように、ビジネスにおいても業務やプロジェクトを進めるうえで、何らかの「メソッド」がある方がスピード、精度、インパクトは上がる。
しかし、現時点ではビジネスに関するほとんどの領域で「メソッド」が世の中に流通しておらず、独学や見様見真似、徒手空拳で業務を進めている人が多い。
今回紹介したメソッドカンパニーになるための弾み車を回すことによって、大量のメソッドを発信し、人類の潜在能力の発揮、社会の進歩の加速に貢献していきたい。
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