今日は、才流のコンサルティング事業の主要コンセプトである「ドーナツ化現象」を紹介したい。
「ドーナツ化現象」については当社のWebサイトや営業資料、セミナー等で毎回説明しているが、なぜドーナツ化現象が起きているのか?ドーナツの真ん中から支援するために何が必要なのか、は触れてこなかった。本ニュースレターで一歩踏み込んで解説してみたい。
ドーナツ化現象とは
まずはじめに「ドーナツ化現象」とは、世の中で提供されるサービスの多様化・細分化・高度化が進んだ結果、顧客ニーズのど真ん中を解消するサービスが提供されなくなった状況を指す。
マーケティング業界では、ここ10数年、実施できる施策や手法、導入できるツール、取得できるデータが急速に増えている。例えば、マーケティングテクノロジーのカオスマップに掲載されているツール数は2011年時点では150個程度だったが、2020年には8,000個にも上っている。
しかし、マーケティング活動上、最も重要な「だれに・なにを・どのように伝えるか」や「どれぐらいの予算で、どれぐらいの成果を見込むか」、「どのような体制を組むべきか」などの“そもそもの部分”を解決できるサービスは提供されていない。
私は前職の某IT企業でBtoBマーケターとして働いていたが、広告やWeb制作、展示会などの施策レイヤーの話を相談できる企業はあっても、自社のマーケティング戦略・施策などを相談できる企業がいないな、、と困っていた。
「ドーナツ化現象」は他の領域でも起きており、例えば、マス広告の世界では直近5年、10年で
TVCMだけでなく、タクシー広告の誕生
ノバセル、テレシーなどの新興のCM出稿サービスの誕生
効果測定を精緻化するツールが多数出現
キー局だけでなく、Abema TV、YouTube、TikTokなど、マス媒体と言える規模のメディアの複数出現
などが起きており、ドーナツの周辺が充実してきている。
しかし、自社のビジネスモデルや顧客の購買特性を加味して、「そもそもマス広告に取り組むべきなのか」、「目標達成のためにどれぐらいの予算が適切なのか」、「どの広告代理店に発注すべきなのか」などを相談できる相手は増えていない。
テクノロジーが発展し、変化のスピードが急速に上がっている現代。今後、あらゆる領域でドーナツの周辺が充実すると同時に『ドーナツの真ん中から相談できる相手がいない…』という課題が増えていくのではないか。
そんな仮説から「ドーナツの真ん中」をコンセプトにしたコンサルティングサービスの提供している。
ドーナツの真ん中を支援するために重要だったこと
サービス提供開始以降、様々な試行錯誤を重ねてきたが、振り返って、大きく2つの点が「ドーナツの真ん中」を支援するために重要だったように思う。
1つ目は、経験豊富な人材を採用すること。「ドーナツの真ん中」で適切な戦略・施策を考えるためには、当然、「ドーナツの周辺」にある様々な施策や手法、ツール等にも精通している必要がある。未経験者がすぐに「ドーナツの真ん中」の支援するのは難しいだろう。
そのため、当社ではマーケティング領域で10年以上の経験を持つメンバーのみを採用するようにしたが、この一手は有効だった。
彼らが10年以上かけて蓄積した経験・ノウハウを活用することではじめて、ドーナツの真ん中から周辺までを広範囲でメソッド化し、サービスを提供することができた。
もうひとつ重要だったのは、ソリューションフリーでいること。
過去には、マーケティング活動の戦略から実行までをカバーしようと、ドーナツの周辺サービス(Webサイト制作や広告運用など)を提供したこともあったが、社内にドーナツの真ん中と周辺の両方のスキル・ノウハウを貯める難しさを痛感し、周辺サービスの提供からは撤退することになった。
仮にドーナツの周辺サービスを確立できたとしても、今度はそのサービスを積極的に売ろうとする力学が働いてしまい、顧客にとって最適なマーケティング戦略・施策の立案ができなくなることも予測される。
実際、某広告代理店では、マーケティング戦略・施策の立案サービスを提供していたものの、本業が広告代理業だったため、戦略・施策立案の際に広告出稿につなげる提案をしてしまうケースが多かったという。
ドーナツの真ん中を担う仕事は面白い
そんなこんなで今は「ドーナツの真ん中」に絞ってコンサルティングサービスを提供しているが、やってみての感想は、とにかく楽しい。
前職でドーナツの周辺であるWebサイト制作事業をやっていたことがあるが、「Webサイト制作」の括りの中だけでは、顧客からの相談・提供すべきソリューションが似通ってしまい、正直、2、3年もすると飽きてしまう、という感想を持っていた。
その点、ドーナツの真ん中をやっていると、顧客からの相談は千差万別で、提供すべきソリューションも似通ることがない。ドーナツの周辺の施策、手法、ツール等も急速に進化しているため、常に膨大なインプットが必要で飽きることがない。シンプルに知的好奇心が満たされる仕事だ。
コンサルティング業界では、アクセンチュアが「戦略から実行まで」をフルラインナップで提供している。ドーナツの真ん中から周辺までを提供することは不可能ではないのだろうが、当社としては「ドーナツの真ん中」にこだわることに相性の良さを感じている。
今後も「ドーナツの真ん中」に絞って、提供サービスを増やしていきたい。
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