#34 兼務ダメ。ゼッタイ。
今日は表題の通り、兼務はダメだという話をしたい。
会社として採用強化モードに入り、入社者が増えている。そのため、採用や入社後のオンボーディング、バックオフィス系の整備など、新しいトピックが日々立ち上がっている。
これまでは
事業をどう伸ばすか
顧客満足度をどう上げるか
コンテンツをどう出すか
健全な組織をどう作るか
などを考えていればよかったが、最近は
採用
入社後のオンボーディング
バックオフィス系のルール、オペレーション整備
会計や情シス的な基盤整備
なども考える必要が出てきている。
幸いしっかり任せられる人たちがいるものの、立場上、どれも多少クビを突っ込まざるを得ず、どれも片手間感満載の関与で申し訳ない気持ちが募る毎日だ。
そして、関与トピックが増えるに従って感じるのは、自分自身の仕事の質・スピードの指数関数的な低下だ。
いわゆる「兼務」と言える状態で、様々なトピックに首を突っ込み、様々な業務に手を出してしまっている。
次々と事業を成功させている某上場企業経営者が「新規事業は兼務では難しい。集中しないとうまくいかない」と言っていたが、だいたいの仕事は兼務では難しく、専任で集中しないとうまくいかないだろう。
例えば、過去の経験上、会社内で「◯◯プロジェクト」「◯◯推進委員会」のようなものを立ち上げても
兼務でやっているので進まない
兼務でやっているので大きな成果は出せない
本業の成果が小さくなる
本業の成果が出るのが遅くなる
(評価があるような会社だと)「◯◯プロジェクトをやっていたから…」が言い訳になりやすく、本業の成果に向き合えなくなる
脳内の切り替えコストが発生し、思考効率、作業効率が悪化する
思考効率、作業効率が悪化した結果、重厚なアウトプットが出にくくなる
など、成果につながらないことが多かった。「◯◯プロジェクト」「◯◯推進委員会」で解決したい課題、実現したいことが本当に重要なのであれば、専任の担当者を置くべきだろう。
また、様々な企業のマーケティング支援をしている中でも、顧客企業のマーケティング担当者が兼務だと、本来1週間で終わる打ち手に1ヵ月以上かかることがある。また、「四六時中、自社のマーケティングについて考えている」状態には程遠いので、新しいアイデアも出にくい。知見の蓄積も遅くなってしまい、専任の担当者を置いている企業に比べて、同じ成果を出すまでの期間が2~3倍に伸びる印象がある。
著名経営学者のピーター・ドラッカーは『経営者の条件』の中で以下のように語っている。
なされるべきことはほとんど常に複数である。しかし成果をあげるには手を広げすぎてはならない。一つのことに集中する必要がある。若干の気分転換を必要とするというのであれば、二つのことを行ってもよい。しかし三つ以上のことを同時にこなせる者はいないはずである。
総じて、個人としても会社としても兼務は良いことが少なく、「専任で集中して取り組む」が成果を出すための原則だろう。
兼務してしまうのは、やるべきことへのフォーカスが足りないから
会社が大きくなり、各業務を専任化させられるようになったら「兼務ダメ。ゼッタイ。」を行動指針に入れたいぐらい、専任化や集中の重要性を信じている私だが、前述の通り、最近は兼務によって仕事のパフォーマンスが下がっていた。
この状態の解消には色々なアプローチがあるだろうが、リクルートホールディングス・代表取締役社長兼CEOの出木場さんが語っていたことが、一つの方向性になるように感じる。
IndeedのCEOを務めているとき「これやらないんですか?」「次はこういうソフトウェア作らないんですか?」といったことを言われることが多かったのですが、他のことをやる意味が僕には分からなかった。まだ月間2億5,000万人にしか使ってもらえていないし、1秒で仕事に就ける世界にできていないのに、他のことをやるわけがないですよ。
(中略)いまだに毎日寝る前には「ワンクリックで仕事がゲットできるってどういうことだろう」と考えていますよ。
「1秒で仕事に就ける世界がつくれるまで、Indeedは成功したと言えない」──Indeed買収の軌跡とPMIノウハウを、XTech西條氏がリクルート出木場氏に訊く
Indeedが目指す、「すべての人が1秒で仕事に就ける」を実現するためにどうすべきかを徹底的に考え、それ以外のことには手を出さない。月間2億人以上に使われているIndeedですら、この姿勢なのだから、まだまだ自分はフォーカスしきれていないなと反省した。
出木場さんが毎日寝る前に「ワンクリックで仕事がゲットできるってどういうことだろう」と考えているとのことだが、最近の私は毎日寝る前に小説『ザリガニの鳴くところ』を読んだり、ドラマ『30までにとうるさくて』や『ラブ・イズ・ブラインド JAPAN』を観てしまっていた。
当社は、“メソッドカンパニー”をビジョンに掲げていて、「#15 才流が目指す経営の弾み車」で書いた通り、メソッドメーカーの採用とメソッドの発信から全てがはじまる。小説やドラマも楽しみつつ、もっと「メソッドカンパニーになるってどういうことだろう」を寝る前に考えていこうと思う。
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