#49 私の7RULES
「7RULES」というテレビ番組がある。“今、最も見たい女性”、“今、最も見てもらいたい女性”の人生を7つの「ルール」で描き出すドキュメント番組で、ルール = "いつもしていること"から、その女性の人生観が映し出されるという考えで作られているらしい。
先日、当社の朝会で「7RULES」を模した発表があった。人となりを理解するのに良いフォーマットだなと思ったので、今回は私が働く上で大切にしている7RULESを紹介してみたい。
私の7RULES
実行や継続を重視する
面白くて、得意で、経済的に報われる仕事をする
企業は人なり。ただし、良い事業や仕組みがあった上で
公の場で誰かをディスらない
ロジックや理論にこだわり過ぎない
ホワイトエンジン
NO HARD THINGS
1.実行や継続を重視する
これまでの経験からIQの高さのような「頭の良さ」はビジネスではそれほど重要ではなく、実行力や継続力こそが重要だと考えている。
もしビジネスが一発で成功を収めなければいけないゲームであれば、頭が良く事前に緻密な計画を立てられる人が有利かもしれないが、実際はほぼ無制限の試行が許されるゲームだ。
大量の試行の中から「成果」や「成功」を手にすればよく、死なない範囲で試行回数を最大化し、アタリを出せば良い。そして、試行回数を最大化するためには頭の良さよりも、実行力や継続力といった資質や習慣が重要になる。
20代の半ばの頃に出会った有名な起業家が、ある後輩の起業家を指して「彼はあれだけずっと努力してるから、いつかは当たるでしょ。」と言っていて、実際にその後輩の起業家は数年後にサービスをヒットさせていた。
それ以来、試行回数を増やすために
意思決定を早くすること
毎日コツコツ、アウトプットを作ること
長期間継続できるようにすること
などを意識している。
※このルールに近い話は『頭の良さ』というレッドオーシャンや#26 勤勉さや実行力が大切そうだと思った話でも書いた
2.面白くて、得意で、経済的に報われる仕事をする
『ビジョナリーカンパニー2』の中で偉大な企業の条件として紹介された「ハリネズミの概念」がある。
「キツネはたくさんのことを知っているが、ハリネズミは大切なことを1つだけ知っている」という古代ギリシャの寓話(ぐうわ)に基づき、偉大な企業は
①情熱を持って取り組めるもの
②自社が世界一になれる部分
③経済的原動力になるもの
の3つの円が重なる領域に集中しているという。
「ハリネズミの概念」をよりシンプルで身近な言葉に置き換えると
①面白いこと
②得意なこと
③経済的に報われること
になるが、仕事は人生の中で大量の時間を費やす以上、「面白くて、得意で、経済的に報われること」をやりたいと考えている。
そして、3つの要素のうち①面白いこと、②得意なことは自分でコントロールしづらいが、③経済的に報われることは自分でコントロールしやすいため、面白くて、得意なことを経済的に報われるように工夫することを常々意識している。
3.企業は人なり。ただし、良い事業や仕組みがあった上で
企業の成功は「人」からもたらされるのか、「事業や仕組み」からもたらされるのかは議論の尽きないテーマだ。
当然、どちらも大切である前提で『事業や仕組みが大切』というポジションを取りたい。
以前、企業とフリーランスのマッチングサービスを運営したときに学んだのは、カオスな環境では優れた人材もカオスに巻き込まれ、本来の能力を発揮できない、ということ。逆に、優れた環境では様々な人材が優れた能力を発揮できていた。
このときの経験から「人」に才能を発揮してもらうためには、前提として「良い事業や仕組み」が必要だと学んだ。
あるべき順序は
・良い事業や仕組みを作る
↓
・良い人を集める
↓
・素晴らしい企業になる
だと理解している。
※事業や仕組みの大切さは#46 価値あるビジネスを続けるにはMoat(モート)が必要。千年投資の公理でも書いた
4.公の場で誰かをディスらない
2022年7月時点でTwitterのフォロワー数は27,740とぷちインフルエンサーの様相を呈しているが、発信する上で「誰かを批判する投稿はしない」をマイルールにしている。
2002年10月にキングギドラが『公開処刑』という曲で当時勢いのあったDragon AshやRIP SLYME、KICK THE CAN CREWなどのアーティストをディスった事件がある。
HIP HOP界では有名な事件だが、そのときの経験をKICK THE CAN CREWのメンバーであるKREVAは次のように語っている。(動画の0:15頃)
最悪だったね、そんときは
最悪だったね、なんか
俺はなんか、その気持ちは他に人に味合わせたくないから、俺はDisは反対かな
これを聞いて、何かを正したり、何かを主張するために誰かに嫌な思いをさせるのは良くないなと思い、自分のソーシャルメディアポリシーにしている。
5.ロジックや理論にこだわり過ぎない
仕事上の議論や検討をする上でロジックの精緻さ、理論の正しさは大切にするものの、こだわり過ぎないようにしている。
過去にはロジックや理論にこだわった時期もあったが、
ビジネスはロジックや理論の正しさを証明するゲームではないこと
ロジックや理論を完璧に詰めるのは、とてもエネルギーがいる割にROIが悪いこと
偏差値80ぐらいある人と仕事した際、その人が持つロジックの精緻さや理論の正しさは仕事の成果とほぼ無関係だなと思ったこと
歴史を振り返ると、ほぼあらゆる理論が後の時代に反証されたり、アップデートされていること
※わかりやすいものだと、天動説や社会主義、経済学が前提としたような合理的経済人など
などもあり、ある時から過分なエネルギーを使わないようになった。
ビジネスの目的は社会に価値を創出することであり、ロジックの精緻さや理論の正しさは「そのための有効な手段の1つ」だと捉えるようにしている。
6.ホワイトエンジン
完全な造語だが、倫理的に恥じることがなく、正しいと思えることを正しいと思えるやり方でやる「ホワイトエンジン」をマイルールにしている。
経営や事業、日々の業務をしていると、ブラックなことは少ないにしてもグレーな判断を迫られるシーンは多い。
事業目標達成のために従業員に超過労働を強いる
顧客に貢献できないと思っているが、月末の目標達成のために無理に受注してしまう
新規事業への投資を行うために顧客価値を犠牲にして、既存事業での収益最大化を狙う
コンバージョン数を最大化するために人の感情を煽るような広告を打つ
バズらせるために釣りタイトルをつける
広告売上を伸ばすために読者にとって価値の薄い記事コンテンツを量産する
などなど。「ホワイトエンジン」はこれらと決別し、完全にホワイトなことだけをやっていくことを指す。
人は善いことを行うときには団結・協働できるが、悪いことを行うときには団結・協働できない。また、善いことは長続きするが、悪いことは長続きしない特性がある。
そして、ほとんどの人は悪いことには加担したくないと考えているため、ブラックなこと、グレーなことは余計な説明・調整コストがかかってしまう。その説明・調整コストは、本来やるべき価値創出に注ぎたいと考えている。
7.NO HARD THINGS
企業が拡大する過程では、組織に“成長痛”が起きがちだ。代表的なものは組織崩壊や従業員のメンタルヘルス問題、顧客からのクレームなどだが、それらのHARD THINGSを可能な限りゼロに抑えたいと思っている。
そもそも衣食住足りている先進国に暮らしている以上、経営者の私も含め、誰かの人生を犠牲にしてまでやるべき仕事はほとんど存在しないと考えている。
1800年頃に生まれていたら大義名分を優先し、HARD THINGSを受け入れたかもしれないが、今は2022年である。可能な限り、皆がハッピーなまま、社会への価値提供や持続的な成長を実現したいと思っている。
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