#53 1日早くやれば、1日早く儲かる
今日は私が好きな言葉「1日早くやれば、1日早く儲かる」について解説しつつ、仕事を早くする方法を解説したい。
「1日早くやれば、1日早く儲かる」とは
会社を経営するようになってから気づいたことで、仕事ではアウトプットを出すのが早ければ早いほど、そこからの効果が早く現れ、儲けにつながるのが早くなる。
便宜的に「儲かる」としているが、「社会への価値提供」や「顧客への貢献」にも置き換えられる。当社の場合、“メソッドカンパニー”をビジョンに掲げているため、「1日早くメソッドを出せば、1日早くメソッドで社会に貢献できる」となる。
「1日早くやれば、1日早く儲かる」を意識すると良い理由を、企業のコンテンツ発信を例に説明しよう。
例えば、作ったコンテンツを2022年9月1日(木)に出すのと、2022年9月2日(金)に出すのでは、前者の方が一日早く問い合わせを獲得でき、1日早く商談が生まれ、結果として1日早く売上が上がる。
何を当たり前のことを、と思うかもしれないが、普通に仕事をしていると「コンテンツは水曜日の11時頃が一番SNS上でシェアされやすい」などのTIPSに引っ張られ、木曜日に完成したコンテンツを翌週水曜日の11時に公開してしまうことがある。
個人的にはこれは悪手で、翌日の金曜日に地球が滅亡して翌週水曜日を迎えられない可能性があるため、完成してすぐの木曜日に公開すべきだと考えている。
翌日の金曜日に地球は滅亡しないかもしれないが、経済学には「機会費用」という「ある選択を行うことで失った、選択しなかったものの価値」を指す言葉がある。
「機会費用」に照らし合わせると
木曜日にすぐ公開することで得られた、翌日の金曜日から翌週の水曜日の11時までの5日間のPVや問い合わせ数の合計
翌週水曜日の11時まで待つことで得られた、PVや問い合わせ数の合計
を比較するべきであり、経験的にも、様々なデータから類推しても、木曜日にすぐ公開した方が累積のPVや問い合わせ数は増えるだろう。
つまり、仕事のアウトプットを先に延ばすことは、すぐにやった場合に得られたかもしれない価値が失われることを意味する。
企業の寿命は20年~30年しかない
また、多くの人が忘れがちだが、そもそも企業には寿命がある。様々なデータから、企業は創業から20~30年程度で倒産し、永く続く企業でも最盛期は30年もないことが明らかにされている。
創業から20年で潰れるとなると、営業日ベースで5,000営業日程度しか活動できない。
にも関わらず、仕事のアウトプットを先延ばしすると、倒産までに出せる累積のアウトプット量が減ってしまう。
「1日早くやらないと累積利益が減ってしまいますよ!」というセコい話をしたいわけではないが、寿命が来る前にできるだけ価値を届けたいな、という意味で「1日早くやれば、1日早く儲かる」の精神を大切にしている。
仕事を早くやる方法
では、具体的にどうすれば仕事が早くなるのだろうか。
即レスする、タイピングを早くする、タスクを高速でこなす、長時間働く、気合いを入れる等よりも「仕事の進め方」を工夫することが重要だ。いくつか例を紹介しよう。
①定例会議ではなく、チャットやショートMTGで決める
一度は上司に注意されたビジネスパーソンが多いと思うが、「次回の定例会議で相談しよう」としていると定例会議までの間に仕事が進まない。
定例会議の場で議論しなくても良い内容はチャットやショートMTGでさくさく決めてしまうだけで、週次定例なら最大7日分、月次定例なら最大30日分、仕事が早くなる。
②完璧を目指さず、まずは80点でリリースする
上図の通り、完成度を80%にする時間と80%を100%にする時間は同じだけの時間がかかる、という説がある。
常に100%の完成度でアウトプットすべき局面もあるが、100%の完成度は実は過剰品質であり、同じ時間で80%のものを2つアウトプットしてしまった方が良いケースもある。
Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏が言ったとされる「完璧を目指すよりまず終わらせろ」の選択肢を持てると、仕事は早くなる。
③判断基準を決めておく
日々業務を進めていると、様々なシーンで意思決定や判断が必要になる。その際、毎回ゼロから考えているとどうしても時間がかかってしまう。
そこで有効なのは、あらかじめ「この場合はこう判断する」という判断基準をストックしておき、その基準に従って機械的に意思決定していくことだ。
この話に関連して、2018年7月号のハーバードビジネスレビューで紹介された非常に好きな論文がある。マイクロソフトがここ10年取り組んでいるA/Bテストに関する効果や方法論を紹介・考察したものだ。
マイクロソフトのポータルサイト・Bingでは、あるアイデアをA/Bテストを経て実装し、売上が11%(米国だけで年間1億ドル以上!)も増えたとのことだが、A/Bテストの効果以上に以下の文章が心に残った。
大部分は実験でうまくいかず、どれが効果を生むかは専門家でも判断を間違いやすい。
グーグルやBingの場合、実験のうちよい結果が出るのは10~20%にすぎない。マイクロソフト全体では、三分の一が有効、三分の一が変化なし、三分の一が悪影響である
マイクロソフトに所属するような非常に賢い人たちがやっても施策の成功率は30%程度しかない。直感的には、思いついた施策の70%ぐらいは良い結果につながる気がするが、残念ながらそんなことはなく、30%前後しか良い結果につながらないようだ。
また、私の友人に1,000万ダウンロード以上されているスマホアプリの共同創業者がいる。昔、彼が「社内で議論を重ねた施策ほどスベっていたり、こっちの方が成果が出るのでは?という事前仮説もほとんど当たっていないことに気づき、とにかくリリースしてしまい、A/Bテストの結果を見て、良い方を残していく方法に変えた」と言っていた。
つまり、どの打ち手が当たるかは事前にはわからず、成果を出すためにはとにかく打ち手の数を増やすことが最善手といえる。
マイクロソフトと友人の会社の話を知ってから、アレコレ考えるよりも判断基準をストックしていき、さくさくと機械的に意思決定することを意識している。
④関与者を減らす
以下のスライドが好きで使いたかっただけとも言えるが、関与者が増えれば増えるほど、アウトプットが出るまでの時間は延びてしまう。しかも、その割に効果は薄い。
基本的には1人か2人にアウトプットに対する権限と責任を集中させ、関与者は最小限にするべきだろう。
以上、他にも色々あるだろうが、ぱっと思いつく「仕事を早くやる方法」を書いてみた。
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